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人間心理を学ぶ

人は一度認めたことを撤回したがらない!一貫性の原理

起業をする上では、人についても詳しくなる必要があります。

ここでは「一貫性の原理」をわかりやすいように、物語テイストにご説明します。

人は一度認めたことを撤回したがらない!一貫性の原理

あるカフェでの出来事

私はいつものようにコーヒーを注文して、カフェで1,2時間仕事を行うつもりでいた。

決まって注文するのはカフェラテ。

しかし、その時は季節メニューとしてカフェラテにハニーを入れた「ハニーラテ」が販売されていた。

おいしそうだったので、この日はそれを購入した。

通常のカフェラテは400円であるのに対し、ハニーラテは460円。

価格差の分だけハニーに価値があり、その味も美味しかった。

 

後日、おいしかったハニーラテを注文しに、私はまたそのお店に行った。

注文のために列に並び、ようやく次は自分の順番。

しかし注文の直前で、私の携帯電話がなり、急ぎの用件であることを知っていた私は、電話に出た。

電話に出た直後、店員から「本日はどうなさいますか?」と聞かれ、咄嗟に「ラテ」とだけ伝えた。

その数秒後、電話をしながらも「ハニー」をつけるのを忘れていたことに気づき、また咄嗟に「ハニーを添えてください」とだけ伝えた。

しばらくして、店員から楽しみにしていたハニーラテを受け取った。。のだが、そこにはカフェラテと、別盛りで小さなお皿にハニーが十分量添えられていた。

領収書を確認すると、価格は通常のカフェラテ代の400円。

ハニーをカフェラテに混ぜて飲んでみると、味も「ハニーラテ」と変わらず美味しい。

ズルをしてしまった罪悪感もありながら、これが偶然か、あるいは「そういうものなのか」を確かめたくて、同日に別店舗を訪れ、同じことをしてみた。(今度は電話なしに)

その結果、でてきたのはハニーを別添えにされた「ハニーラテ」が出てきて、料金も400円とカフェラテと同じ。

ハニーをカフェラテに混ぜる手間として60円の価値があるのか?

わからないが、私個人としては、この出来事に何かしらの法則があるのではないかと気づいた。。。

一貫性の原理

どんな法則が働き、「ハニーラテ」を400円で購入することが可能になったのでしょうか?

それは、「一貫性の原理」の働きによるものと考えられます。

一貫性の原理とは、自身の思考・言動に対して一貫したものにしたいという心理を指します。

店員は私のオーダーを「カフェラテ」として一度は受け入れ、その後追加で注文したハニーは「追加注文」として別なものとして受けとった。

一度受け入れたことに矛盾しない思考・言動をとるために、店員はこの時「既に受けとった注文」であったカフェラテをそのまま継続しようとし、ハニーを別添えとした「ハニーラテ」を生む結果を招いたと考えられます。

ビジネスへの活かし方

それでは、「一貫性の原理」はどうビジネスに生かすことができるでしょうか?

顧客の購買決定に伴う負担を極力小さくしてあげ、購買決定をこれ以上なく単純なものにしてあげることがポイントとなります。

では、どのようにして顧客の購買決定に伴う負担を減らし、単純にすることができるのか。

それは、

  • 顧客の購買ステップをハードルを下げてあげること
  • 肯定しやすい質問・購買プロセスとすること

です。

この2点に留意して顧客にアプローチするか、あるいはECサイト等であれば考慮された設計とすることが大切と考えます。

この際、参考となるテクニックは次の通りです。

Foot in the door technique

フット・イン・ザ・ドア・テクニックと呼ばれ、営業マンがよく利用する方法でもあります。

営業の際、人間は反射的に相手を断ろうとします。

とはいえ、無下に断るのも憚られるので、断る問答を考えてしまうものですが、そんな時に「一つだけ宜しいですか?」とか、「1分だけ宜しいですか?」と営業マンに言われると、「一つだけなら。。」と一度折れてしまいます。

ここで一度「Yes」を引き出すと、そこからは順を追って「Yes」を引き出し、最終的に購入していただきたい商品の案内まで到達する可能性がぐんと上がります。

まずはどんなことでもいいので「Yes」を顧客から引き出すのが営業の鉄則ですが、この手法はそれを上手に引き出してくれます。

無料お試し

多くの企業が採用している非常に有効な手法で、頻繁に見かけるものです。

Buy one, Get one free

ピザ屋さんでも見かける「2枚買うと1枚タダ」の手法です。

これは実質「50%オフ」や「半額」と同じですが、「1枚無料」と表現されるとお得感が増し、顧客の購買行動を促すことができます

フリーミアム

基本機能の利用は無料とし、一部プレミアム機能の利用者には有料とする手法です。

Youtubeが有名な例ですが、簡単ECサイト作成ツールを提供するBaseやStoresなども同じように用いられており、ネットのツールやシステムを提供する企業にとっては定石となっています。

非貨幣市場

コンテンツマーケティングが代表的な手法ですが、一定のお役立ち情報を提供し、ブランド価値の向上や顧客のロイヤリティ向上を促進する手法です

SNSによるフォロワー獲得から売上につなげる手法も、原理は同じです。

トライヤルセットお試し

通常の商品とは別にトライヤルセットとして、商品の数量を減らし価格を下げた商品を用意します。

そうすることで商品購入のハードルを下げ、購買行動につなげる手法です。

試してナンボな、一定量の摂取が必要な食品系には非常に有効なやり方です。

トライヤルコースを注文された顧客は「気に入らない要素」さえなければ、基本的にはそのまま顧客になってくれる可能性が高いです。

アンケート回答

実はアンケートに回答していただくことも一貫性の原理に沿った強力な手法です。

アンケートに回答すると顧客は自分の回答に対して一種の「コミット」をしたくなるものです。

例えば「友人に勧めらても問題ない商品であるか?」のような項目があったとして、そこでは「Yes」とポジティブな回答をしたとします。

ある時に実際に友人に勧める機会があったとすると、その時もポジティブな回答をしてしまうものです。

アンケートでの質問の仕方が上手であれば、うまく「Yes」を引き出すことができ、一度「Yes」を引き出せるとフット・イン・ザ・ドア・テクニックと同じように、なし崩し的に顧客にアプローチすることができるようになるかもせれません。

コンテンツマーケティング

すなわち、コピーライティングによって上手に「Yes」を引き出します。

上記のアンケートでも説明の通り、「Yes」を引き出すための上手な質問の仕方、ライティングの仕方を心がけることが大事です。

理解しやすく、納得でき、顧客が涎を垂らすようなライティングができれば、そこで引き出される複数の「Yes」は自社のブランド向上にも貢献し、顧客のロイヤリティ向上にもつながります。

まとめ

一度「Yes」というと、それが約束かのように、矛盾した思考・言動を行わないようにするのが人間です。

そんな一貫性した行動を取ろうとする顧客心理に沿った手法をビジネスで用いることが、顧客から自然と好まれる方法です