「1万円得る」ことと「1万円無くす」こと、皆さんはどちらの方が感情が揺れますか?
実は「1万円無くす」ことの方が人の心を揺さぶり、動かします。
このようにお得なことよりも損失を避けたがる修正のことを、「損失回避の法則」と呼びますが、ここでは損失回避の法則のこと、ビジネスでの活かし方についてご説明します。
人は失うことに敏感!損失回避の法則
頭に入ってこない金融営業マンの話
私が事務所で仕事をしていた時のこと。
営業マンが現れ、FX取引について紹介された。
FXは少額から取引することが可能で、リスクも限定的、やり方も簡単、今後の円安と思うなら「買い」円高と思うなら「売り」で参入するだけです。
ちなみに今後は円安ドル高になると予想されており、現在の104円から半年後には114円までの値上がりを見込んでいます。
今後の円ドル市場を考えると、日銀が異次元の金融緩和を実施しているからインフレ圧力が高く、一方でアメリカは….. そのため自分(営業マン)としてはドル買いを推奨しており、104円から114円まで上がれば1枚の購入で10万円の利益、10枚持って入れば100万円の利益となります。
宜しければ今回は100万円投資していただいて、まずは10枚買って儲けませんか?
お客様の一番の不安は市場動向だと思いますので、その点はプロである自分(営業マン)がサポートします。
と、上記内容をもっと細かく説明していただきながら、
- 少ない資金で始められること
- 非常に簡単に始められること
- 市場動向さえ掴めれば魅力的であること
を教えていただいた。
なのだが、どうも頭に入ってこない。
素人の自分として一番知りたいのはそれは「ハイリスク・ハイリターン」と言われる所以っである。
いや、ぶっちゃけ「ハイリスク」と言われる理由、「リスクが限定的」と話した根拠が知りたい リターンの話はリスクを理解してからで良い。
人間は無意識に危険を回避しようとする
多くの方は、そもそも話を聞かない方も多いかもしれませんが、上記のような経験は誰しもが一度はあるかと思います。
「儲かるビジネスの話がある」「あなたのためになる話がある」
人このような話を持ち込まれた時、いきなり素直に話を聞きたいとはならないのが人間です。
それは無意識に危険を回避する本能が人間にはあるからです。
損失回避の法則
このようにリスクを避けたがる人の心理は「損失回避の法則」の働きによります。
損失回避の法則とは、人は無意識に、得することよりも損をすることを避けたがる心理を指します。
例えば、次のようなゲームにあなたは参加するでしょうか?
コインを投げ、
- 表が出た場合、あなたは10万円を得ることができる
- 裏が出た場合、あなたは5万円失う
多くの人は、このコインゲームには参加をしない判断をします。
コイントスの結果、表裏の確率は50%vs50%であり、得られる額の方が失う額の2倍高です。
仮に100回コインを投げた場合におおよそ50回ずつ表と裏が出ますので、仮に50回ずつ出た場合に計算すると、表は50回 x +10万円 = +500万円、50回 x -5万円 = -250万円となり、差額の250万円分得をする。
仮に運が悪くて表が40回しか表示されない場合でも、100万円のプラスで終わる。
確率の計算的には儲かる可能性の方がずっと高い。
ここまで話すと、自分は参加すると思われる方もいるかもしれませんが、実際には「損をする可能性がある」という恐怖心から参加しない人は多いのです。
このようにして、人は損をすることを避けたがります。
得と損では、損の方が2~2.5倍心理的に大きいと言われています。
ビジネスへの活かし方
では、「損失回避の法則」はどのようにビジネスに活かすことができるのでしょうか?
活かし方のコツは、「ある判断に伴う損失を明確に伝えてあげる」ことです。
代表的な伝え方は下記の通りです。
- 今を逃すと損!
- 今の状態を続ける損をする!
- 損せずに始められる!
- いまだけの希少な機会!
今を逃すと損
「残り10日、冬の一掃セール!」
「本日限り!最大70%off!」
「残り30分お昼だけのタイムセール!」
このように、今購入しないことがチャンスを逃すことになると思わせることで、顧客の購買意欲を瞬発的に高めることができます。
最近ではamazonを中心に、セール文言とともに目の前でカウントダウンがなされる仕掛けも多く見られるが、顧客の真理を理解した上策です。
今の状態を続けると損をする
「まもなくポイントが失効します!」
「今の生活習慣を続けたら病気になるかもしれない」
「左は弊社ツールを利用した場合、右は何もしなかった場合の損失額で、弊社ツールを活用するとxx円損をせずに済みます」
このような文言とともに、先々あなたが被る(かもしれない)事象を提示することで、今行動することを促します。
3点目の内容では、「弊社ツールを活用する方がお得です!」ではなく「xx円損をせずに済みます!」と表現することがポイントです。
損せずに始められる
「お肌に合わない場合には全額返品します!」
「1ヶ月無料でお試しできます!」
「契約後7日間は契約を解消することができます!」
このように、万が一商品に満足できなかった場合の安心感を与えるための保証制度を設けてあげることで、気に入らない、自分には合わない場合には、いつでも止めることができるようにしてあげます。
損を回避できるという選択肢を与えてあげることが強力な購買トリガーとなるのです。
ちなみに7日後の契約解消制度については、クーリングオフという法的に定められていることで、その企業・サービス特別な制度ではありませんが、敢えてこのことを記載することで、顧客は法律の存在をわかっていても、あなたの記載一つに安心感を得られます。
今だけの希少な機会
「期間限定でセールを実施中!」
「100個に限りで販売!」
「1日100個限定のメロンパン!」
このように該当商品の在庫は無限ではなく有限であり、チャンスを得られるには数に限りがあることを伝えることです。
こうしてあげることで、顧客心理としては希少性が増します。
希少性が増すことで、相対的に商品そのものの価値も高く認識され、これが顧客の購買トリガーとなるのです。
まとめ
人は無意識に、得することよりも損をすることを避けたがるものであり、損は得に対して2~2.5倍も強く作用します。
そのような人間の真理をマーケティングに応用するためには、損をすること、あるいは損をしない方法を明示することが大切です。
是非ともビジネスで活用し集客に活かしてください。